役員報酬の金額を皆様どのように設定されていますか?来期の利益予想から逆算?生活費から逆算?何となく?
今回ご紹介するのはそんな役員報酬の金額設定について税務署から否認された事例です。
平成29年4月に裁決された事例ですが、納税者は主に中古自動車の販売をしていました。その代表者が会社からもらっていた役員報酬は年間1億2,800万円です。この金額を聞いて皆さんはどのように感じられましたか。少なからず税務署は高すぎだと判断をして、この役員報酬の否認に着手します。税務署の判断材料は以下の3点です。
①代表者の職務内容、②会社の収益状況、③同業類似法人の代表者に対する報酬額。
これらを総合的に判断して年間1億2,800万円は不当に高額であると裁判所へ主張しました。結果的に裁判所もこの主張を支持した事で納税者は敗訴してしまいます。
ここからは私見ですが、この税務署の判断ってほんとに正しいのですかね。①の代表者の職務内容って現場にいない税務署職員がどうやって判断したのか疑問を感じます。会社にとって身近な存在である我々税理士でさえも代表者の細かな職務内容を完全に把握するのは難しいと思うんですよ。これをどのように税務署職員が評価したのか、興味があります。③の同業類似法人の代表者に対する報酬額にしてもだから何?って思ってしまいます。他社が支給する役員報酬の金額を参考にしても意味はないと思うんですよね。自由競争の阻害ですし、法人税より高額な源泉所得税を納税しているのだから悪質な意思もないでしょうし。
ただあくまでも法律上は下記のとおりとなっていますので税務署の判断は正しいと言わざるを得ないです。
「内国法人が各事業年度においてその役員に対して支給した給与の額が、当該役員の職務の内容、その内国法人の収益及びその使用人に対する給与の支給の状況、その内国法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するものの役員に対する給与の支給の状況等に照らし、当該役員の職務に対する対価として相当であると認められる金額を超える場合におけるその超える部分の金額」(法人税法施行令70条一号)
役員の給与くらい自由に決定すべきだと思いますけどね。その分税金も支払うわけですから税務上何の問題もないと思うんですけどね。昨今内部留保が問題になってますが、こんな規定は撤廃したほうが日本経済も少しは活発になると思いますよ。