前回の続きにはなりますが、帳簿等の保存の重要性についてもう1点。
平成29年6月に裁決された事例ですが、納税者は内装工事業を営む個人事業主です。平成22年から平成26年分の消費税の申告をうっかり、いやあえてしていませんでした。そこで税務署はこの無申告期間に係る調査を実施したい旨の連絡を納税者に行いますが納税者は仕事が忙しいからという理由で再三の請求も全て拒否し続けていました。
さすがに税務署もこれでは話が進まないということで、このまま調査を拒否し続ければ、帳簿等が適正に保存されていないと言わざるを得ず、その場合は消費税の仕入税額控除を受ける事は出来ませんよ、と連絡します。納税者はこれを受けても調査を拒否します。よっぼど何か嫌な事があったんですかね。。。
そこで税務署は推計課税という伝家の宝刀を抜きます。税務署の独断で売上を想像し、経費も想像し、利益を確定させるという手法です。ただ今回は帳簿が適正に保存されていない場合に該当しますので、売上は想像し、経費は0円という、売上=利益という何とも恐ろしい数式になります。
当然これも決着は法廷に持ち込まれますが、裁判所の結論は税務署からの帳簿の提示を再三拒否し続けた納税者が悪い、と結論付けられました。
2024.09.30