決算が終わると税理士から帳簿や書類を最低でも5年間は保存していてくださいね、と言われると思います。5年間分の帳簿や書類って結構膨大ですよね。これ捨てちゃまずいの、って思いたくなる気持ちよくわかります。もし決算が終わった帳簿や書類を捨てちゃった場合、税務上まずいことになる一例を紹介致します。
平成28年10月に高裁で裁決された事例ですが、平成26年2月4日にパチンコ店を経営している納税者の事務所に国税局から無予告で調査の実施がありました。無予告調査に対して担当税理士は違法である旨を主張し、税務調査を拒否する姿勢を示しました。その後国税局はその日から複数回にわたって調査を実施したい旨の連絡・帳簿書類の提示を納税者および税理士に対し行いましたが納税者側はこれを拒否します。そこで国税局側は帳簿書類の提示が出来ないのであれば、消費税法第30条に規定する課税仕入の適用を受ける事は出来ないとし、納税者が申告していた消費税の仕入税額控除の適用を否認する更生処分を決定し、税額38億円の賦課決定処分を行いました。
(最後の方の意味は、帳簿書類を提示出来ないってことは帳簿書類を保存していないって事だよね、保存していないって事は領収書や請求書って架空の可能性あるよね、じゃ申告書に記載されている経費の部分は全部認めないよ、ってことです)
これを受けて納税者側が驚愕した事は想像できます。普通に考えていきなり38億円払えって言われても払えるわけないですもん。もちろん法廷で争う事になりました。
裁判所の結論だけ申しますと、何回も国側が帳簿書類の提示を求めたにも関わらず、それを拒否し続けたことは、たとえ帳簿等を保存していたとしても帳簿等を保存しない場合に当たると結論付け、納税者側は敗訴しました。
これめちゃくちゃ恐ろしい事例ですよね。みなさま帳簿等の保存は面倒でもちゃんとしましょうね。
2024.09.30