東京地裁令和元年5月30日判決で内縁の妻に対する給与認定について争われた判決があります。
ある法人の代表が自身の内縁の妻に対して、給与を毎月支給しその全額を経費に計上していました。これに対し税務署は内縁の妻に対する給与は役員報酬に該当するため、その内縁の妻の業務内容・勤務状況について事実認定を行いました。調査の結果、実際に内縁の妻は会社の業務を行っていましたが、その内容が軽微なものであり家庭の妻が夫に頼まれて行う事務の程度のものであるため、給与とは言えず生活保障の趣旨で支払われたものと認めることが相当であるとして法人税法34条3項の規定により給与として認めませんでした。
内容はシンプルな判決ではありますが、実態を伴わない支出は経費にはならないという事を再認識させられた判決であったと評価致します。
※法人税法34条3項「内国法人が、事実を隠蔽し、又は仮装して経理をすることによりその役員に対して支給する給与の額は、その内国法人の各事業年度の所得の計算上、損金の額に算入しない」
2024.09.30